犬の認知症

先日、平均寿命が犬・猫ともに過去最高を記録したと発表がありました。
寿命が延びていることは喜ばしいですが、それに応じてペットの高齢化が進んでいます。長寿になるほど、認知症になる可能性も大きくなってきます。愛犬が認知症を発症したとき、どのような対応をしたらいいか知っておきましょう。

●認知症とは?
老化による脳の萎縮や脳機能の衰え、自律神経機能の低下、遺伝など様々な原因が挙げられていますが、いまだに不明な部分が多い病気です。その他にも栄養や飼育環境なども認知症と関連があるといわれています。今の医学では治すことは困難なため放っておくと症状は進んでしまいます。早期発見、早期治療ができれば進行を遅らせることができます。
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●症状
認知症を発症すると以下のような行動や変化が現れます。
・ぐるぐると同じところを回る、徘徊する
・夜鳴きをする
・昼夜が逆転している
・トイレの失敗を繰り返す
・異常な食欲
・呼びかけなどの反応が低下する

●症状に合わせた対処方法
<ぐるぐると同じところを回る・徘徊する>
無理に歩くのを止めさせると大きな声で鳴くこともあるため、止めさせるのはなかなか難しいです。そんな子の場合は疲れるまで、気が済むまで歩かせてあげましょう。
注意点は、物の隙間に入ってしまうと方向転換や後退することができないため身動きがとれなくなってしまうことです。また、柱や家具などにぶつかって怪我をしてしまう危険もあります。隙間を塞いだり、角にクッションをつけるなどして防ぎましょう。
サークルや大きめのケージの中で歩かせるのも1つの方法です。お風呂マットをつなぎ合わせて円形のサークルを作るとぶつかっても安全な素材ですし、サークルに沿ってぐるぐると歩き続けることができるのでおすすめです。

<夜鳴きをする>
「痛い」「トイレへ行きたい」「お腹が減った」「寂しい・不安」など様々な理由があります。
寝たきりの子は体勢を変えてあげたり、尿や便で体が汚れていないか確認してあげましょう。分離不安による夜鳴きの場合は添い寝をしたり、飼い主さんの匂いがついた洋服やタオルなどを置いて気持ちを落ち着かせてあげましょう。
夜鳴きが続くと、近所トラブルや飼い主さんの負担も大きくなってしまいます。そのような時は動物病院へ相談して下さい。必要に応じてサプリメントや薬を処方してくれる場合もあります。

<昼夜が逆転している>
昼間は寝てばかりで、夜になると歩き回ったり鳴き続けたりすることがあります。
体を動かしたり、声をかけたりしてなるべく昼間に寝かせないようにします。
体内時計を正常に戻すには、日光浴が効果的です。
運動やスキンシップで刺激を与えて、夜にぐっすりと寝られるようにしてあげましょう。
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<トイレの失敗を繰り返す>
今までできていた躾ができなくなってしまうことがあります。
トイレまで連れていく、トイレの場所を複数用意する、普段過ごしている場所の近くにトイレを設置する、などして失敗を減らしてあげましょう。
もし、失敗してしまっても決して怒らないで下さい。臭いや汚れが残らないようにきちんと消毒・消臭をして清潔に保つことが必要となります。
また、オムツを利用することで飼い主さんの負担が軽減できる場合もあります。
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<異常な食欲>
老齢になると食が細くなる子が多いですが、認知症の場合は記憶力の低下や満腹中枢の異常からすぐにごはんを欲しがることがあります。
食べてもすぐに欲しがってしまう場合は1日の食事量は変更せず、回数を増やしてあげましょう。犬用の玩具で転がしたり倒すことで中に入れたフードやおやつが少しづつ出てくるという物があります。興味を示すようであれば、取り入れてみてはいかがでしょうか。
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<呼びかけなどの反応が低下する>
1点をぼーっと見ていたり、飼い主さんの呼びかけや姿を見ても反応を示さないことがあります。これ以上、症状が進行しないように、反応が鈍くなっていても声掛けやスキンシップで刺激を与えてあげましょう。注意点は、認知症になると感情のコントロールがうまくできなくなる事があります。急な刺激に対して過敏に反応し、攻撃的になってしまう子もいます。急に触るのではなく飼い主さんの声や匂い、姿を確認させてから触ってあげると安全です。

認知症の介護は飼い主さん1人ではとても大変です。家族や、動物病院などと協力して上手く病気と付き合っていけるといいですね。

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