寄生虫シリーズ③ 瓜実条虫

瓜実条虫は、別名「犬条虫」とも言います。しかし、イヌだけでなく、ネコやフェレットでもよく見られます。寄生部位は小腸です。
世界的に発生がみられ、日本でも全国的に分布しています。日本で最もみられるイヌ、ネコの条虫と言えるでしょう。
瓜実条虫と言う名前は、片節の形がきゅうりの種のような形をしているので名づけられました。
瓜実条虫はノミが感染源なので、都市部でも高頻度で発生しています。

形態と生態
瓜実条虫は、全長50~70cmに達し、片節数は100個以上になります。体は白色または黄白色で、頭部には4個の吸盤があり、これによって小腸に付着しています。

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片節には雌雄両方の生殖器官が1組ずつあり、個々の片節で虫卵を生産します。しかし、産卵するための穴(産卵孔)がないので、体の末端の片節から順番にちぎれ、イヌやネコなどの糞便中に排出されます。そして、排出された片節が壊れ、中から卵囊という卵を包んだ塊が現れます。卵囊の中には数個~十数個の虫卵が含まれています。さらに卵囊が壊れ、虫卵が出現します。
虫卵はほぼ球形で大きさ30μm~50μm、内部に六鉤幼虫と言われる幼虫が形成されています。この六鉤幼虫にはすでにノミへの感染能力があります。

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この虫卵をイヌノミやネコノミ、ヒトノミなどが摂取すると、その体内で幼虫が発育します。イヌやネコがグルーミングのときなどに偶発的にノミを食べてしまう事があります。こうして、イヌやネコに感染し、小腸で成虫になります。

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症状
瓜実条虫の寄生を受けたイヌやネコなどは無症状でいることが多いですが,
ときに下痢を発症します。特に幼齢のイヌやネコなどは多数の瓜実条虫が寄生することがあり、激しい下痢を起こすことがあります。症状が悪化していくと、体重減少や栄養不良、脱水を起こします。

病院治療病院
治療は、瓜実条虫の駆虫が第一です。
下痢をしていても、駆虫されれば自然に落ち着きますが、重症の場合などでは下痢止めを投与したり、栄養不良や脱水改善のための点滴を行います。

予防
イヌやネコなどに瓜実条虫の感染源はノミやハジラミです。そのため、これらの外部寄生虫からの寄生を受けないようにしておくことが大切です。定期的にノミの駆虫薬で予防できます。

人への感染
瓜実条虫は、人にも感染し、小腸に成虫が寄生します。
人への感染も、イヌネコと同じく、ノミなどを食べてしまうことによって起こります。偶発的にしても摂取しないように注意が必要です。
子供は、体が小さく、床との距離が近いため、フローリングの溝や畳の中にいるノミを食べてしまう事があり、こうした理由から瓜実条虫の人体への寄生例は子供に多く認められます。

参考文献  犬・猫・エキゾチックペットの寄生虫ビジュアルガイド
イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科

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