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コクシジウムは、動物の消化管の上皮に寄生する原虫です。昆虫からヒトにいたるあらゆる動物に寄生し、重篤な疾病を引き起こします。
動物のコクシジウムはアイメリア属(Eimeria)とイソスポラ(Isospora)に分類されます。
アイメリア属は1個のオーシスト内に4個のスポロシストを作り、イソスポラ属は1個のオーシスト内に2個のスポロシストを作ります。
糞便中に排泄されたオーシストは、好適な条件下(湿度75%以上、16℃~28℃)で成熟して、感染力を持ち、動物に摂取されると宿主の体内で無性生殖と有性生殖を行い増殖していきます。
アイメリア属はウサギ・ウシ・ニワトリなど主に草食動物に寄生するコクシジウムで、イソスポラ属はイヌ・ネコなどの肉食動物に寄生するコクシジウムです。
アイメリア属はイヌ・ネコには寄生しません。
症状
生後1~数ヶ月の若齢のイヌ・ネコに多く発生します。発育したイヌ・ネコにも感染しますが、症状がでることは少ないです。
潜伏期間は5~6日で、水様性の下痢を起こします。重症の場合、粘血便が見られます。他の症状としては、軽度の発熱、消化不良、元気喪失、食欲不振、衰弱、削痩、体重減少などがみられます。
感染後3週間以上を経過すると症状は軽減し、回復に向かいますが、それまでに状態が悪化した場合には死亡することもあります。
また、症状が軽減した後も長期間、感染動物の糞便にはオーシストが排出され、他の動物への感染源になります。
ウサギでは肝臓の腫瘍、胆管、胆のうの肥厚が見られ、肝炎を引きおこします。
子ウサギでは死亡率が高く、注意が必要です。
治療
コクシジウム類にはサルファ剤という薬物を使用します。また、対症療法として点滴、下痢止めなども行います。
予防
感染しているイヌやネコの糞便を適切に処理することが大切です。糞便に排出されたばかりのオーシストは未成熟で感染力を持っていません。そのため、糞便をすぐに処理すれば寄生虫が他の動物に感染する機会を失うことになります。
参考文献 犬・猫・エキゾチックペットの寄生虫ビジュアルガイド
イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科
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