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イヌとネコに寄生する糞線虫類として、日本では糞線虫と猫糞線虫の二種類が知られています。
糞線虫は、イヌやネコ、サル類、人間などに感染しますが、イヌにおける発生が多く認められ、日本国内ではネコへの寄生例はほとんど知られていません。特に、この寄生虫は、輸入されたイヌやブリーダーのもとで飼育されているイヌに多発しています。
猫糞線虫は、名前に猫と付いていますが、寄生するのはネコだけではなく、実際にはタヌキなどの野生動物に寄生すると考えられています。こうした野生動物との間接的に接触する機会があるイヌやネコに多く見られます。
糞線虫、猫糞線虫どちらも宿主の小腸に雌虫体のみが寄生します。
形態と生活
イヌやネコに寄生している糞線虫の雌成虫は体長約2mm、猫糞線虫の雌成虫は体長3mmといずれも非常に小さく肉眼ではほとんど見られません。
糞線虫類は、宿主の体内に雌成虫のみが寄生します。そして、雌だけで卵あるいは幼虫を産みます。この卵や幼虫は糞便とともに体外に排泄され、外界で発育し、雌と雄に発育します。雌への発育には、虫卵からR(ラプジチス)型幼虫、F(フィラリア)型幼虫を経て発育する直接発育、あるいはR型のまま外界で発育して雌雄成虫となる間接発育の2種類があります。雄成虫への発育は虫卵の段階で既に決定されていて環境要因の影響を受けませんが、雌成虫への発育には直接発育になるか間接発育になるかは、遺伝的な物や外界の環境要因などに影響されます。特に温度の影響が大きいようです。
感染方法はイヌやネコに経口的に感染するほか、皮膚を穿孔して経皮的に感染します。
症状
糞線虫に感染していても無症状で経過することがありますが、下痢を発症する例も多く認められます。特に子犬には、下痢や削痩、発育不良がしばしば見られます。
治療
糞線虫類の駆除は容易ではなく、有効な駆虫薬を使用しても、一回の投薬では完全に駆虫できないこともあります。そのため、糞線虫類の感染を受けた動物は、駆虫後もしばらくの間、糞便検査を行います。
予防
糞線虫は、ブリーダーなどの集団飼育する環境で多発します。集団飼育する場合には、糞便の処理など、衛生管理に注意することが大切です。
猫糞線虫は、タヌキなどの野生動物の寄生虫なので、できる限り接触させないことが大切です。しかし、これは容易ではないので定期的な糞便検査をお奨めします。
人への感染
糞線虫は人にも感染しますが、人間に寄生している糞線虫とイヌに寄生している糞線虫では多少の違いがあり、イヌに寄生する糞線虫は人間には感染しにくいようです。
しかし、感染の可能性がないわけではないので、感染を受けているイヌの糞便は速やかに処理することが大切です。
猫糞線虫は人間への感染は知られておりません。
参考文献 犬・猫・エキゾチックペットの寄生虫ビジュアルガイド
イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科
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