犬・猫の感染症について ⑩猫クラミジア感染症

猫クラミジア感染症はネコクラミジア(クラミドフィラ フェリス)による感染症です。
以前は北米に限られていると考えられていましたが、現在はヨーロッパやオーストラリア、日本でも発生がみられ、多種の哺乳類や鳥類に感染が起こることが知られています。
クラミジア感染症は人獣共通感染症の一つで、鳥から人に感染する「オウム病」のChlamydophila psittaci(クラミドフィラ シッタシ)、目の伝染病「トラコーマ」や性病を発症するChlamydia trachomatis(トラコマチス)はよく知られているのではないかと思います。その他にも、肺炎を起こすChlamydia pneumoniae(肺炎クラミジア)などがあります。
猫クラミジア感染症もごく稀に人に感染し、結膜炎が起きたという報告もあります。

感染経路
主に感染猫の目ヤニや涙に接触することで、菌が口や鼻、目から侵入し感染します。
ペットショップやブリーダーなどの多頭飼育の場合は、一匹から全員に感染する可能性があります。

症状
主に片眼の結膜炎から始まり、発赤や腫脹、多量の粘液性の目ヤニがみられます。その後、症状は両眼に及びます。また、鼻水やくしゃみ、咳も現れます。
単独では、あまり危険な病気ではありませんが、ヘルペスウィルスやカリシウィルスといった、いわゆる「猫の風邪」と混合感染することが多く、重い症状を引き起こすことがあります。

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治療
治療にはテトラサイクリン系などの有効な抗生物質があり、点眼で投与します。
治療は4週間か、症状が軽快しても少なくとも2週間は継続します。
症状が良くなったからといって、薬の量を減らしたり、途中で止めたりすると、再発することがあるので、しっかりと投与することが大切です。

予防
予防にはワクチンが有効です。
ワクチン接種については、以前の記事でもご紹介しました

参考文献 猫の臨床(DAIRYMAN)
イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科(PIEBOOK)
猫のワクチンパンフレット(共立製薬)

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